論理的な文章の書き方について解説
論理的な文章を書くには、論理的な思考が必要だと考える方もいます。
改善するため、読書して論理的な思考についてインプットする方もいますが、大切なのは文章の書き方を知ることです。
そこで今回は、誰でも論理的な文章を書けるようになる方法をご紹介します。
文章力がないと感じている方に向け、伝わらない文章の特徴や、論理的な文章の構成方法を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
伝わらない文章の特徴
文章力がない、内容が伝わらないと感じている方は、まず伝わる文章と伝わらない文章を見分けることが大切です。
伝わらない文章とは、「論理的展開ができていない」「文章が長い」「文法が正しくない」「言葉足らず」の4つの要素に分けられます。
論理展開ができていない
論理展開とは、一つの結論を伝えるときに結論の裏付けを示す、事実や前提の組み立てのことを言います。
「〇〇だから(事実やエビデンス)、~です。」のように、理由と結果を述べて書き進める方法です。
伝わらない文章は、論理展開していないため、読み手が分かりにくさを感じやすいのです。
論理展開の基本的パターンには「演繹方(えんえきほう)」と「帰納法(きのうほう)」の2つがあります。
難しい言葉に感じるかもしれませんが、日常会話で無意識に活用されている方法です。
演繹法(三段論法)
演繹法とは、三段論法とも言われ、一般的かつ普遍的な事実(ルールやセオリー)を前提として、そこから結論を導き出す方法です。
「AはBである。BはCである。よってAはCである」というように、AとBという情報に基づいて、Cという結論を導き出せます。
例
「人は必ず死ぬ」
「ソクラテスは人である」
「ソクラテスは必ず死ぬ」
演繹法は、前提には誰もが知っている事実や普遍的事実が使われる傾向があります。
反対に、前提に偏った主観が混じってしまうと、論理破綻してしまう可能性があるため注意しましょう。
帰納法
帰納法とは、多くの事例に共通することに注目し、共通点から分かる根拠をもとに結論を導き出す方法です。
複数の事実や事例をあげることによって、読み手に納得感を与え、導き出される結論が一般的になります。
「Aという事象がある。Bという事象がある。つまり〇〇は~と言える。」というように、複数の具体的な事実から同一の傾向を抽出し、結論に持っていきます。
例
「アメリカの経済が低迷している」
「日本の経済が低迷している」
「ヨーロッパの経済が低迷している」
「よって、世界の景気が低迷している」
文章を書くときは、論理展開をうまく活用しましょう。
文章が長い
分かりやすい文章の基本は「一文一義」です。
文の構造がシンプルで、かつ一つの文章に含む情報は一つに絞りましょう。
すると、読み手は文を理解しやすく読みやすい文章になります。
反対に、一つの文章に複数の内容が含まれていると、読み手は混乱します。
「~なので、~だから、~の場合は……。」このように、接続詞を使い一つの文章で全てを伝えようとすると、読み手は結局何を伝えたいのか分かりにくくなるのです。
文章が長いということは、不要な言葉が多いということでもあります。
冗長表現(じょうちょうひょうげん)とも言われ、文章内に不要な語句や表現が入ることで読みづらく、長い文章になってしまうのです。
冗長表現の代表的なパターンと例文は以下の通りです。
- 「の」の連発:「今年の人気のアイテム」→「今年の人気アイテム」
- 二重敬語:「うかがわせていただきます」→「うかがいます」
- 冗長な文末:「~することができます」→「できます」
- 同義語・類義語の重複:「しかし逆にいうと」→「逆にいうと」
- 硬い表現:「存在する」→「ある」
- こそあど言葉:「これ、それ、あれは……」など
- 必要のない語句:「基本的にいつも7時に起きます」→「いつも7時に起きます。」
違う言葉に置き換える、冗長表現を省くと文章がシンプルになり、読み手に伝わる文章になります。
文法が正しくない
伝わりにくい文章は、間違った文法が使われている可能性があります。
分かりやすい文章を書くためにも、正しい日本語の使い方をマスターしましょう。
日本語は他の言語と違い、主語を省略したり、文法を入れ替えたりしてもある程度の内容は通じやすい言語です。
しかし、分かりやすい文章を書くためには意識すべき4つのポイントがあります。
- 主語と述語を正しく対応させる
- 文の主語が変わるときは、主語を省略しない
- 主語を途中で入れ替えない
- 修飾語と被修飾語の位置関係を近くする
頭に浮かんだ表現をそのまま文字にしていると、頭の中では理解しているため文法の誤りに気付きにくいものです。
一度書いた文は必ず読み直し、上記のポイントを確認しましょう。
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言葉足らず
分かりやすい文章とは、5W1Hの要素で構成されています。
しかし、「読み手は分かってくれるはず」という思い込みが原因で、本来必要な語句も省略してしまう傾向があります。
文にとって必要な言葉が足りないと、意味が曖昧になり分かりにくい文章になるのです。
省略しても意味が通るもの、省略すると誤解を与えるもの、または分かりにくくなるものを判断し、文章を作成しましょう。
例
「本日は雨のため、13時に約束していた打合せを延期したく存じます。」
この文章を読むと、「なぜ雨だから延期なのか?」疑問に思うでしょう。
この文章には、延期した理由がないため、読み手はなぜそうした決断に至ったのか理由を確認しなければなりません。
省略部分を修正すると以下の通りです。
「本日は雨のため、建設予定地での計測が叶いません。計測値が分からないままでは、話が先に進まないため、13時に約束していた打合せを延期したく存じます。」
なぜその決断に至ったのかが分かり、納得しやすい文章になりました。
言葉足らずになる原因は、「当たり前のことだから、書かなくても分かるだろう」と勝手に判断することです。
当たり前の基準は人によって異なるため、読み手の立場になり必要な情報なのかの判断も必要です。
他にも、文章が伝わらない人には特徴がある
ここまで、文章が伝わらない人の特徴を紹介してきましたが、この他にも特徴は挙げられます。
もし少しでも当てはまった方は、下記記事に特徴と改善策も紹介していますので、ぜひご一読ください。
論理的な文章構成の作り方
論理的な文章といっても、何から書いてよいか分からない方も多いでしょう。
文章をまとめるのが苦手、伝わりやすい文章とは何か分からない方は、文章の構成を知らないことが原因です。
分かりやすい文章には型があり、その構成に沿って書くだけで文章力がアップします。
今回は代表的な書き方を3パターンご紹介します。
SDS法
SDS法とは、結論(Summary)→説明(Details)→結論(Summary)の順に話を展開していくフレームワークのことです。
最初に全体の概要を伝え、次に具体的な説明、最後に全体のまとめとして結論を伝える構成です。
2つの結論の間に説明を挟むという形式から、「サンドイッチ法」とも呼ばれています。
詳細を伝えた後に、もう一度最初に伝えた内容を繰り返す事で、相手の記憶に残りやすく結論が伝わりやすいのが特徴です。
- 結論:集中力を高めるため朝ランニングするのはいいことだ
- 説明:脳科学者が、朝ランニングは脳の働きを向上させる効果があると述べている
- 結論:集中力を高め、パフォーマンスを向上させるなら朝ランニングが有効だ
PREP法
PREP法とは、結論(Point)→理由・根拠(Reason)→具体例(Example)→結論(Point)の順に話を展開していく構成の方法です。
PREP法は伝えたい内容を先に伝えるため、内容が途中で脱線しにくいメリットがあります。
ビジネスや論理的な説得力のある文章を書くときに活用される構成です。
以下PREP法を用いた例文です。
- 結論:集中力を高めるため朝ランニングするのはいいことだ
- 理由:脳科学者が朝ランニングは脳の働きを向上させる効果があると述べている
- 具体例:脳科学者の茂木健一郎氏や元米大統領のバラク・オバマ氏も習慣化している
- 結論:集中力を高め、パフォーマンスを向上させるなら朝ランニングが有効だ
ストーリー・起承転結型
ストーリー型・起承転結型とは読み手に共感を誘う構成の方法です。
マイナスの状態(発端となるもの)→転機→進化・成長→未来の順に伝えていきます。
書き手のストーリーに感情移入しやすく、記憶にも残りやすいメリットがあり、テレビショッピングや通販のチラシなどにも使用される構成です。
- 発端:在宅になってから、長時間集中力が続かず仕事の効率が落ちたと感じた
- 転機:あるとき読んだ本に、朝ランニングすると集中力が高まると書かれていた
- 進化・成長:朝ランニングを続けていくうちに、集中力の高まりを感じるようになった
- 未来:仕事の効率が上がり、プライベートの時間との頭の切り替えもできるようになった
全体構成の順序の作り方
分かりやすい文章は終始一貫性があり、内容がぶれません。
それは、全体構成をしっかり練り、話の展開を設計しているからです。
全体の構成を作らずに書き始めることは、設計図がない建築のようなイメージで、ゴールが見えない状態です。
事前に完成予想図を作成し、何を伝えるか、そのために何を書く必要があるか、必要な要素を整理してから書き始めましょう。
全体構成の順序は以下の通りです。
ゴールを決めてから逆算する
まずは文章のゴールを決めましょう。
ゴールとは「誰に」「どんな状態になってほしいのか」、文章を書く目的です。
できる限り具体的に言語化することがポイントです。
例
- 誰に:文章を苦手と感じている方で、何から書いてよいか分からない方
- どんな状態になってほしいか:分かりやすい文章には書き方があることを知ってもらう
仕事にも目標があるように、文章にもゴールを設定すると、何を書くべきか見えてきます。
見出しを設定する
見出しとは、文章の骨組みであり、目次の役割を果たします。
読み手は最初に見出しを見て、文章の内容を判断するため、文章の内容を表現できる見出しの設定が必要です。
ポイントは以下の通りです。
- 階層を分けて整理する:「大見出し」「中見出し」「小見出し」
- 読者が理解しやすい順番にする:「大きな項目→小さな項目」「概論→各論」「概要→詳細→補足情報」「時間の流れ先→後」
見出しを見ただけで、自然に内容が理解できる構成が分かりやすい文章には不可欠です。
つまり、見出しを見ただけで論理展開のある文章か、内容に一貫性があるか分かるのです。
文章力がない方は、まず何をどんな順番で書くか整理することから始めましょう。
いい文章は基本の論理を押さえれば誰でも書ける
論理的な文章は、基本の論理を理解すれば誰でも書けるようになります。
反対に、論理的な文章構成や構成の作り方を知らないままでは、いくら本を読んで論理的な考え方をインプットしても、いい文章を書けるとは限りません。
それほど、文章を書く上では基本となることです。
今回ご紹介した構成の作り方や順序をぜひ参考にしてください。
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