ロジカルライティングとは?メリットやビジネスでの活用方法を紹介
相手に伝わる文章を書くことは、ビジネスにおいて重要なスキルの一つです。
しかし、「上手な書き方がわからない」「書いたはいいものの読みづらい」など、文章スキルに課題を感じている方も多いかもしれません。
これらの悩みを解決する鍵となるのが、「ロジカルライティング」です。本記事では、ロジカルライティングの概要や書き方など、論理的な文章を書くために必要なコツを解説しています。
より多くの人に理解してもらえる、わかりやすい文章を書きたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ロジカルライティングとは
ロジカルライティングとは、「論理的な文章を書く方法」のことです。「論理的な、筋の通った」という意味の英語「ロジカル(logical)」が語源となっています。
ロジカルライティングでは、伝えたいことを整理し、筋道を立てて話題を展開していくことが求められます。
ロジカルライティングスキルの必要性
ロジカルライティングは、ビジネスシーンで多く用いられる文章作成術です。では、なぜロジカルライティングスキルが必要とされているのでしょうか。2つの理由を掘り下げていきましょう。
1つ目は、ビジネスでは「情報の正確性」が特に重要視されているからです。
曖昧な内容や表現では、書き手の意図した通りに情報が伝わらない可能性もあります。
誤解を生んだまま意思決定が行われることのないよう、伝えたい情報ははっきりと、簡潔な言葉で表すことが求められます。
2つ目の理由は、ビジネスで書く文章には何かしらの「目的や意図」がある、という点です。
ロジカルライティングは、論理的でわかりやすい文章を書くための手段ではありますが、“伝えること”そのものがゴールではありません。
本質的な目的は、文章を読んだ人が、書き手の望み通りのアクションを起こすことにあります。
例えば、「新しいプロジェクトを立ち上げるための企画書を書く」「研修で得た知見を報告書にまとめてシェアする」などのシーンを考えてみましょう。
これらの場合、ただ読んでもらうだけでなく、相手から賛同や協力、理解を得ることによって初めて、文章を書く目的が達成されます。
ロジカルライティングは、内容を整理した上で、論理的に伝えることに長けているため、正確で丁寧な説明が求められるビジネス文書との相性がよいと言えます。
ロジカルライティングのスキルを身につけておくと、ビジネスのさまざまなシーンで活用できるでしょう。
ロジカルライティングを身につけるメリット
ロジカルライティングを身につけることは、書き手にとってもプラスになり得ます。今回は、2つのメリットをご紹介します。
的確に情報整理ができる
ロジカルライティングでは、伝えたい内容を整理し、構成を組み立て、順序立てて説明していく必要があります。これらのプロセスは、文章を書く時以外にも応用することができます。
物事を論理的に捉えることができれば、原因と結果、根拠と結論など、情報の繋がりをきちんと把握できます。ロジカルライティングの思考は、的確な情報整理にも役立つでしょう。
メモが上手くなる
ロジカルライティングを応用することで、上手なメモを書けるようになります。例えば、研修やセミナーなどでは、自分が重要だと感じたことをメモにとる機会も多いでしょう。
ここでロジカルライティングを応用し、「自分のためにわかりやすいメモをとる」ことを意識します。後から見返した時に情報が整理されていると、メモに書かれたノウハウを効率的にインプットできるようになります。
ロジカルライティングの書き方
ここからは、ロジカルライティングの書き方を、流れに沿って具体的に解説していきます。
ロジカルライティングでは、文章を書く前の目的設定や構成も重要なプロセスですので、綿密な準備を行った上でライティングを進めましょう。
目的、ゴールを明確にする
まずは、「誰に」文章を読んでもらうのか、読んだ相手に「何を」してほしいのか、「どんな」行動をとってもらいたいのか、文章の目的とゴールを明確に示しておきましょう。目的が曖昧なまま文章を書き始めると、伝えたいことの軸がブレてしまったり、意図した通りに伝わらなかったりすることがあります。
例えば、クライアントに対して新プロジェクトの提案書を書く、というシーンを想定してみましょう。ここでのゴールは「クライアントに提案内容を正しく伝える」ことではなく、「提案に賛同してもらい、プロジェクトをスタートさせる」ことです。
ゴールが見えると、話題運びや言葉選びにも工夫を加えやすくなります。「新規顧客の獲得が期待できる」「長期的な収益の向上が見込める」など、プロジェクトに魅力やメリットを感じてもらえるような文章を盛り込むことで、「ぜひこのプロジェクトをやりたい」という気持ちに持っていくことができます。ゴール設定次第で結果が変わるという意味では、大変重要なステップと言えます。
構成のフレームを作成する
ゴール設定ができたら、次は文章の土台・設計図となる構成を作成しましょう。先に構成を組み立てておくと、どのような話題を、どのような展開で結論に持っていくのか、スタートからゴールまでの流れを見通すことができます。構成を作るひと手間はかかりますが、流れを考えながら執筆していくよりも効率的です。
ロジカルライティングでは、一般的に次のような順序で構成していきます。
- 問題
- 問題の解決方法
- 理由
- 説明
- 事例
- 結論
冒頭で問題や課題を提起し、次に解決方法を述べます。
続いて、なぜその解決方法が望ましいのか理由と説明を行います。同時に、具体的な事例を紹介して、読み手の解像度を高めましょう。最後に「このような理由で~」と、内容全体をまとめて結論を述べます。
構成力アップのポイントは、特にフォーカスすべき話題はどれか、どの見出しにボリュームを割くべきかを考えることです。
例えば、新しい施策のアイディアがあるので、それを上司に承認してほしいという場合であれば、施策の魅力や特徴・メリットにウエイトを置いた構成にします。一方で、施策についてのアドバイスを求めているのであれば、現状の課題や懸念点を中心に説明していくとよいでしょう。
フレームに沿ってライティングをする
続いて、作成した構成フレームに沿って、ライティングを進めていきます。構成という骨組みに、内容を肉付けしていくようなイメージです。先に設定したゴールを意識して執筆することで、筋道の通った話題展開ができるでしょう。
最初は、文脈の繋がりを気にせず書き進めても構いません。一旦伝えたいことを全て書き出して、後の工程で取捨選択していく方法もあります。
書いた文を読み直し修正をする
文章を書き終えたら、読み直して修正を行いましょう。構成に沿った内容が書けているか、論理が破綻していないか、冗長な表現になっていたりしないかをチェックし、不要な部分は削除します。
文章を改めて読み直すことで、言葉のリズム感や誤字脱字など、書いている時には気づきにくい細かなポイントにも気を配ることができます。このステップを踏むことで、より読みやすく、相手に伝わる文章に仕上げられるでしょう。精度・クオリティアップのためにも、丁寧な見直しが大切です。
ロジカルライティングのコツ
ここでは、ロジカルライティングのスキルを向上するためのコツをご紹介します。改まった文章を書く時だけでなく、さまざまなコミュニケーションの場面で活用できるでしょう。
結論ファースト
ロジカルライティングでは、必ず結論を最初に示しましょう。冒頭に結論を持ってくることで、「これから何の話題をするのか」、あるいは「意見や主張」が読み手に明確に伝わります。
すると、読み手側も内容を整理した状態で読み進められるため、スムーズな理解に繋がります。
話題を提示する冒頭部分だけではなく、各論、各見出しの中でも結論ファーストのライティングを心がけるとよいでしょう。
簡潔に書く
簡潔な表現を使い、わかりやすい文章を書くよう意識しましょう。読点が連続するような長い文章は、趣旨が伝わりにくいだけでなく、だらだらとした印象を与えてしまいます。
ライティングでは、一文の長さは60文字以内 が目安とされています。一つの文で伝えることは一つだけ、という「一文一義」を意識すると、文章は自然と適切な長さになります。
また、「主語を省略しない」「主語と述語をなるべく離さない」「一言で言い切る」「遠回しな表現を使わない」などの点も留意しましょう。無駄な言葉を削ぎ落とし、シンプルな文章にすることで、書き手の意図が伝わりやすくなります。
必要な情報を絞る
文章には、本題に直接関係する情報のみを盛り込みましょう。全ての情報を網羅しようとすると、話題が脱線してしまい、伝えたいことがぼやけてしまう可能性があります。
本題から逸れそうな内容は省き、話題が枝分かれしすぎないように気をつけましょう。伝える情報がきちんと絞れていると、最初から最後までストレートに読み進めることができます。
読み手側の気持ちになる
読み手側の目線に立ち、その人の気持ちを想像して書くことも大切です。文章の理解度は、読み手の知識量や立場、見方によっても異なります。自分が論理的な文章を書けたと感じていても、読み手が理解できなければ目的は達成されません。
例えば、専門知識のないクライアントに対して、専門用語を多用した説明をしても、うまく伝わらないでしょう。初出の言葉は正式な名称を書く、特定の分野で使われる用語は噛み砕いて補足するなど、読み手の理解を深められるような工夫が必要です。
MECE(ミーシー)を意識する
「MECE」とは、「Mutually(お互いに)」「Exclusive(重複せず)」「Collectively(全体に)」「Exhaustive(もれなく)」の頭文字を取った言葉で、「もれなく、ダブりなく」と訳すことが一般的です。
MECE(ミーシー)は、論理的な考え方を積み重ねていく思考法 「ロジカルシンキング」の基本的な概念です。リサーチや分析など、論理的思考をもって課題を解決する場面で多く用いられます。
ロジカルライティングにおいても、MECE(ミーシー)を意識することが大切です。伝えたいことを文章に「もれなく」、かつ「重複しない」ように盛り込むことで、書き手の意図が正確に伝わります。
ロジカルライティングに使えるフレームワーク
続いては、ロジカルライティングに使えるフレームワークを3つご紹介します。この構成に当てはめて文章を書くことで、論理的に話題を展開できるでしょう。
特に、ライティングに自信がない方や、文章力に不安がある方は、これらのフレームワークを参考にするとよいかもしれません。
逆三角形型
「逆三角形型」は、「結論」「説明」「補足」の順で話題を展開するフレームワークで、新聞記事でよく使われる手法です。
「起承転結」のように、時系列に沿って内容を書くのではなく、もっとも伝えたい内容を冒頭で述べることが特徴です。これにより、読者は一文目を読んですぐに「何についての話題か」を知ることができます。
結論は、いつ・誰が・どこで、といった「5W1H」を意識して、ストレートに書きましょう。その後、結論に至った理由や経緯、根拠などを続け、情報を補足します。
文章のボリュームが多すぎた場合には、後半の補足部分を削ることで対応できますので、全文を書き直すことなく調整が可能です。
それでは、ニュースを例に逆三角形型の構成をみていきましょう。
1.結論
○○県の××地区で、5万本のひまわりが見頃を迎えています。
2.説明
ひまわりは、地域活性化のために地元のボランティアが育てたもので、夏らしさを感じられるスポットとして人気を集めています。
3.補足
ひまわりの見頃は、今月いっぱいだということです。
PREP法
「PREP法」は、ロジカルライティングにおいてもっともポピュラーな文章構成術です。PREPは、「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(実例・具体例)」「Point(結論)」の頭文字をそれぞれ取ったもので、この順に沿って文章を作成していきます。
PREP法の大きな特徴は、最初と最後に二度結論を述べる点です。結論を先に論じるため、「何の話をするのか」ということが読み手側にも明確に伝わります。
また、根拠や具体例を挙げて話題を広げていくことから、内容に説得力を持たせることができます。プレゼンや論文、営業などでもよく使われる手法です。
具体的な流れは以下の通りです。
1.結論(Point)
最初に、結論として文章の趣旨や、もっとも伝えたいポイントを述べます。読み手の興味を引くような表現で、短く簡潔に表しましょう。
2. 理由(Reason)
続いて、その結論に至った理由や背景を解説します。「なぜなら」「その理由としては」などの言葉で繋げると、自然に話題を展開することができます。
3. 具体例(Example)
さらに、「理由」の根拠となるような具体例を挙げて、内容の補足を行います。結論の信頼性や説得力が高まり、読み手に納得してもらいやすくなります。
4. 再結論(Point)
最後に、結論を再度述べて主張をまとめます。結論を重ねることで、伝えたい内容を読み手に強く印象づけることができます。
列挙型
「列挙型」は、初めに主題を提示した後、情報ごとに「見出し・本文」のブロックを作り、それらを並べて構成するフレームワークです。伝えたいことを分類・整理して伝達することに長けているため、商品・サービスの紹介やランキングなどで用いられることが多いです。
全体の流れは以下の通りです。
1.全体像
序文・リード文にあたるブロックです。内容に興味を持ってもらえるよう、「これから何の話をするのか」を明らかにした上で、伝えたいテーマを簡潔に表します。
2.列挙
事例や紹介したいものを順番に挙げていきます。見出し・本文のセットで1ブロックとし、それぞれのブロックに1つずつ情報を盛り込みます。見出しの数は、列挙する情報量によって増減します。
列挙型の活用ポイントは、ブロックごとの区切りを明らかにすることと、情報の並び順を意識することです。重要度の高い情報から並べる、カテゴリーやジャンルを分けて紹介するなど、順序に何らかの繋がりを持たせることで、より情報が整理されるでしょう。
3.まとめ
最後に、文章の総括を述べて締めましょう。リード文の内容を受けて、伝えたいことを再度まとめ、結論を導きます。
文章力を鍛える方法
文章力がつくことで、仕事が効率的に進んだり、信頼関係が構築できたりします。結果的に収入にもつながっていくでしょう。
では、文章力を鍛えるためには何をしたらいいのでしょうか。普段の生活に取り入れることができる方法をこちらの記事で解説していますのであわせてご覧ください。
参考記事:文章力に自信がない社会人へ!着実に文章力を鍛える方法
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ロジカルライティングの活用例
最後に、実際のビジネスシーンにおいて、ロジカルライティングがどのように活用できるのか、その例をご紹介します。今回は、前項でピックアップしたフレームワークをベースにしています。
上司へ報告
業務の進捗状況や、調査結果の報告、あるいは研修レポートなど、社内で報告書を書く機会は多くあるでしょう。
今回は、あるプロジェクトの進捗状況を上司に伝える、という想定で、ロジカルライティングを実践してみましょう。報告書の役割は、スケジュール通りに業務が進んでいるか、そうでないかを伝えるだけではありません。
進捗が思わしくない場合は、スケジュールやリソース配分を変更したり、業務の割り振りを変えてみたりなどの軌道修正が求められます。円滑なプロジェクト進行に役立てる、という部分に目的を置いて書き進めましょう。
以下で、列挙型のフレームワークを使った例をご紹介します。
【例】
△月×日現在、○○プロジェクトの進捗状況は以下の通りです。
タスクA
スケジュール通りに進行しています。
タスクB
□□についてクライアントからの返答待ちです。返答が週明けとなるため、当初より3日遅れで着手予定です。
タスクC
××のデザインが大幅に変更となりました。そのため、スケジュールの抜本的な見直しが必要となりそうです。詳細がわかり次第、速やかにご報告いたします。
上司に相談
相談や依頼のための文章を書く時にも、ロジカルライティングを活かすことができます。要望や依頼を伝える時には、逆三角形型のフレームワークが適しています。
では、上司に人員増強の相談を持ちかける場面を例にとってみましょう。最初に伝えるべきは、「人員を増強してほしい」ことです。
その後、人手が必要な事情や理由などを続けます。
逆三角形型の構成を用いた文例は以下の通りです。
【例】
現在進行中の■■プロジェクトに関するご相談です。ヘルプ要員として2名手配していただきたく、ご連絡いたしました。
例年ですと、■■プロジェクトは6名で担当しているのですが、△△プロジェクトのスケジュールが遅れていることと、新規案件の対応が重なっており、チームの人手が不足しています。現状3名で進行していますが、納期に間に合わない可能性があります。
つきましては、△△プロジェクトに参加しているメンバーが、■■プロジェクトに着手できるまでの期間(○月×日まで)、人員を2名増強していただくことは可能でしょうか。
以上、お手数をおかけしますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
幅広いシーンで活用が期待されるロジカルライティング
ロジカルライティングの概要や必要性、活用できるフレームワークなどをご紹介してきましたが、参考になりましたでしょうか。
今回は、ビジネスにおける文章作成術をメインに解説しましたが、ロジカルライティングに求められる論理的な考え方は、さまざまなシーンに応用することができます。
改まった文章だけでなく、メールの文面、あるいはプレゼンのように音声でコミュニケーションをとる場面でも役立ちます。
この記事が、ロジカルライティングで文章力を上げたい、論理的でわかりやすい文章を書きたいと考える方の参考になりましたら幸いです。
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監修者 中野巧
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