Webで読まれるライティングのコツとは?スキル向上のポイントを紹介
インターネット上のユーザーに向けて記事や文章を書くことを、一般に「Webライティング」と呼びます。
Web上のコンテンツは、新聞・雑誌などの読み方とは異なり、画面をスクロールする操作がある、短時間でサッと読まれやすい、読みにくいとサイトを離脱される、といった特徴があります。
また、Web記事の場合は“たまたま目に留まった”ことがきっかけで読まれることも多いです。
ユーザーに読んでもらえる文章を書くためには、Webならではの特徴を踏まえたライティングスキルが必要と言えるでしょう。
本記事では、記事の構成や表現方法・体裁など、文章作成の基本的な部分を中心に、Webライティングのコツをご紹介します。Webライティングに自信がない方や、ライティングスキルを伸ばしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
Webライティングの目的
まずは、何を目的にWebライティングが必要とされているのかを整理しておきましょう。今回は、代表的な例を2つご紹介します。
一つ目の目的は、Webサイトへの集客です。検索エンジンで記事を上位に表示させることで、そこからの流入獲得を狙うものです。一般には「SEO(検索エンジン最適化)ライティング」と呼ばれ、ユーザーの検索意図に沿った有益な情報・コンテンツの提供が求められます。
二つ目の目的は、Webサイトからのコンバージョンの促進です。コンバージョンの定義はコンテンツにより異なりますが、記事を読んだユーザーに、さらなるアクションを求める意図があります。ユーザーの行動例としては、記事を見た後に会員登録をする、商品を購入する、サービスの申込みをする、などが挙げられます。
このように、それぞれの目的やゴールに合わせた文章を書くことも、Webライティングに求められるスキルの一つです。
Webライティングのコツ
ここからは、Webライティングのコツを具体的に解説していきます。今回は、文章の組み立て方や表現方法など、論理的で読みやすい文章を作成するためのポイントをご紹介します。
構成
まずは、記事を執筆していく流れについてみていきましょう。記事の目的や内容に関わらず、どのようなコンテンツでも基本的に執筆フローは共通しています。ポイントを押さえておくことで、多様なジャンルのライティングに対応できるでしょう。
全体の見出し構成から作る
構成の作成は、記事のクオリティを左右する重要な工程と言ってよいでしょう。いきなり本文から書き出すと、記事の目的やゴールとズレたり、伝えるべき内容が定まらなくなったりしてしまいます。
まずは、タイトルや見出しなど、記事の土台となる「構成」を作り、スタートからゴールまでの筋道を立てましょう。
見出し作成で重要なポイントは、記事の目的にマッチしているか、ユーザーが知りたいと思っている情報を過不足なく伝えられるか、という点です。話題が広がりすぎるとまとまりがなくなりますし、内容が不足していると“薄い”印象を与えてしまいます。どのような内容を、どんな順番で書くか、違和感のない話題展開を意識することが大切です。
また、ほとんどの記事は文字数が定められています。もっともボリュームを割くべきところや、特に深掘りすべき見出しはどこなのかを考えた上で、各見出しの文字数も想定しておきましょう。これにより、ユーザーにとってわかりやすく、満足度の高い記事を目指すことができます。
本文はフレームワークを使う
本文は、ライティングのフレームワーク(定型)に当てはめて書き進めることがおすすめです。ここで言うフレームワークとは、伝わりやすい文章を書くためのテンプレートのようなイメージです。
今回は、Webライティングでよく使われる手法である「SDS法」と「PREP法」の2種について掘り下げていきます。
「SDS法」とは、要点(Summary)、詳細(Detail)、要点(Summary)というシンプルな流れのフレームワークです。まず伝えたいことの概要を説明し、次に内容を掘り下げ、最後に全体のまとめを述べて締めます。Webライティングだけでなく、自己紹介やスピーチでも用いられています。
SDS法は、事実をわかりやすく伝えることに長けているため、読者の印象に残りやすいのが特徴です。どのジャンルでも使いやすく、汎用性が高い手法と言えるでしょう。
「PREP法」は、Point(結論)、Reason(理由)、Example(具体例・根拠)、Point(結論)という構成のフレームワークで、論文やプレゼンなどで採用されることの多い手法です。
PREP法は、具体例や根拠を示しながら話題を展開していくため、内容により説得力を持たせることができます。また、冒頭で結論を述べる、主張や論点を整理できる点でも、読者に伝わりやすい構成と言えます。
どちらのフレームワークも、冒頭で“これからこの話をします”と述べるため、読者は記事の全体像をイメージしやすく、読んでいても疲れを感じにくいです。記事の目的やボリュームを考慮して、それぞれを使い分けてみましょう。
文章構成についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください
表現方法
続いては、表現方法に関するコツです。Webライティングのクオリティを上げるためにも、「読みやすさ」は特に重要なポイントと言えるでしょう。
読者にとってのメリットを訴求
ユーザーは、“○○について知りたい”、“悩みを解決したい”といったニーズを持ってWebページを訪れます。書きたいことを一方的に伝えるのではなく、どんな読者がどんなニーズを持っているのか、それを満たすにはどんな情報を伝えるべきなのかを意識することが大切です。
併せて、記事を読むことでどんなメリットやベネフィットが得られるのか、という点もしっかりと伝えましょう。
注意点としては、読者=自分(ライター)ではないことです。自分に置き換えるのではなく、読者の人物像や置かれた状況を想定してライティングを進めていきます。
読者の目線に立つと、読者のニーズを満たせる言葉選びができるようになりますので、より本質的で訴求力の高いコンテンツの作成に繋げることができるでしょう。
重複する内容に注意
記事全体で、同じ内容・説明を何度も繰り返さないように気をつけましょう。前の見出しで説明したことを次の見出しでまた解説する、一般論を長々と説明する、といった文章は冗長な印象を与えます。
知りたい内容にすぐたどり着けなかった場合、読者は早々にページを離脱してしまいます。内容に説得力を持たせるためにも、無駄を省いたわかりやすい文章表現を心がけましょう。
一文の長さを抑える
一文の長さは、できるだけ60字以内に収めましょう。一つの文章に情報をたくさん詰め込むと、どうしても長々とした文章になってしまいます。パソコンの場合、一行あたりの文字数はデフォルトで約40文字以内とされていますので、一文が2行以上になる場合は分割することが望ましいです。
また、近年はスマートフォンからのアクセスも大変多くなっています。スマートフォンは画面の横幅が狭いため、長すぎる文章は余計に読みづらく感じてしまいます。1行に表示できる文字は20字前後とされていますので、スマートフォンからの閲覧を想定している場合は、より短めの文章を意識するとよいでしょう。
一つの文で一つの情報だけを伝える「一文一義」を心がけると、一文の長さを抑えることができます。
言いまわし
次にご紹介するのは、文章中の言いまわしに関するコツです。読みやすさだけでなく、SEO対策にも繋がりますので、ポイントをしっかりと押さえておきましょう。
キーワードはそのまま
記事のテーマとして指定されているキーワードは、そのまま用いましょう。例えば、「web」と「ウェブ」、「スマートフォン」と「スマホ」、「申し込み」と「申込み」など、一つの記事の中で表記にばらつき(表記ゆれ)があった場合、読者は読みづらく感じてしまいます。
また、SEO対策においても、表記ゆれはデメリットに繋がります。キーワードによっては、表記ゆれが検索エンジンでの表示順位に影響することもありますので、キーワードは省略したり、変換したりせずに使います。
指示語は可能な限り使わない
「この」「それ」「あれ」「どの」など、いわゆる指示語(こそあど言葉)は可能な限り使わないようにしましょう。指示語を多用すると、何を示しているのかわかりづらくなり、読み進めるうちにストレスや混乱を生じさせてしまいます。
一方で、全く指示語がないと、文章が不自然になり、くどい印象を与えることもあります。全体のバランスを見ながら、指示語を使いすぎないよう工夫しましょう。SEO対策キーワードは、指示語に置き換えずに使うことで、SEO対策効果も見込めます。
参考記事:「~たり、したり」の正しい使い方・用法|間違えやすい文法や言い換え表現を徹底解説【例文付き】
専門用語には注意
専門用語が多いと、読者は読みづらさを感じて離脱する傾向にあります。読者が「その情報に初めて触れる」ことを想定して、専門用語はなるべく使わず、簡単な言葉に置き換えるよう心がけます。凝った文章表現や、難しい言いまわしも可能な限り避けましょう。
なお、読者に高度な専門知識があることを前提にしている場合は、この限りではありません。
同じ文末表現を続けない
同じ文末表現を続けないように気をつけましょう。文末表現とは、文章の最後に来る「~ます・です」などのことです。
例えば「~します。」「~ます。」などと、同じ表現が繰り返されると、文章にメリハリが出ず稚拙な印象になってしまいます。一本調子な文章は、読者も読みづらさを感じやすくなります。
文末表現のバリエーションを多く持っておくと、記事が洗練された印象になります。
文末表現についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
漢字、ひらがな、カタカナのバランスに注意
文章中の漢字、ひらがな、カタカナの比率に注意しながら執筆を進めましょう。読みやすい文章は、一般的に「漢字3割、ひらがな7割」と言われています。漢字が多すぎると読みづらく、反対にひらがなが多いと文章に締まりがなくなります。
漢字・ひらがなの比率を考える時に意識したいのが、漢字の「とじ・ひらき」です。「漢字をひらく」とは、漢字で表せる言葉を、ひらがなで表記することです。
例えば、「~のとき」や「~すること」などの形式名詞、「および」や「ただし」などの接続詞は、ひらいて使うことが一般的です。
また、「おもしろい」「さまざま」「いたします」のように、ひらがなで表しても不自然に感じない言葉は、ひらがなにしてみるのもよいでしょう。
Webライティングの場合、各サイトで漢字・ひらがな・カタカナの表記ルールが定められていることもあります。その場合は、レギュレーションに従って表記してください。
装飾
記事や文章に装飾を施すと、ページ全体が読みやすくなるだけでなく、重要なポイントが読者に伝わりやすくなります。見出しに合った画像を挿入する、文字を装飾して変化をつけるなどの工夫を加えて、読者を飽きさせないページ作りを心がけましょう。
ここでは、より読みやすい記事を作成するためのアイデアをご紹介します。
文字の強調を活用する
記事の要点となる部分や、特に伝えたい文章は、太字にしたりマーカーを引いたりして強調しましょう。
ただし、あれもこれもと装飾すると、かえって読みづらさを感じてしまいます。アクセントとして、必要な部分に適宜用いることが大切です。
リスト(箇条書き)や改行を活用する
リスト(箇条書き)や改行を活用することも、すっきりと見やすい記事にするためのポイントです。
画面いっぱいにびっしりと文章が書かれていると、読むのがおっくうになることも。要点をまとめる時は、情報を箇条書きにするなどの工夫も大切です。
また、話題の変わり目や文脈に合わせて、改行を入れることも意識しましょう。画面の中に程よく余白があることで、記事全体にメリハリが出て読みやすくなります。
漢字のとじ・ひらきと同様、レギュレーションがある場合は、ルールに即して執筆を進めましょう。
テーブル(表)を活用する
伝えたい情報量が多く、文章にすると長くなってしまう場合は、テーブル(表)を活用してわかりやすくまとめましょう。テーブルを使うことで情報が整理され、読者にも要点が伝わりやすくなります。
校正・校閲
ここからは、記事を書き上げた後の校正・校閲の段階でチェックしておきたいポイントをご紹介します。細かな点も多いですが、記事のクオリティに関わる重要なステップですので、抜けや漏れのないようきちんと見直しを行いましょう。
なお、サイトやメディアによって、表記ルールなどのレギュレーションが定められている場合があります。あらかじめ、執筆ルールを確認しておきましょう。
ですます調の統一
語尾や口調は、記事中で必ず揃えるようにしましょう。「です・ます」と「だ・である」が混在している文章は読みづらく、クオリティ面でもあまり評価できません。
口調が異なるだけでも、読者に与える印象は大きく変わります。サイトのコンセプトや雰囲気に合わせる、いわゆる「トンマナ」を意識することが大切です。
半角全角の統一
文字の半角・全角も記事内で統一しましょう。特に、数字・英字・括弧などは、半角と全角が混在しやすいため注意が必要です。
一般的には、カタカナや句読点は全角、数字・英字は半角表記とするケースが多いです。表記が揃っていると、記事が整然とした印象になり、読みやすくなります。
声に出して読み返す
記事を書き終えた後は、必ず全体を読み返して内容をチェックしましょう。校正に自信がなければ、声に出して文章を読むのもおすすめです。
音読することで、文章のテンポやリズム感などを感覚的に把握することができます。音読していて引っかかる場所や、違和感のある部分は、黙読でも読みづらい可能性があります。
また、語字・脱字も見つけやすくなります。語字・脱字は記事の信頼性を下げる一因になり得ますので、ミスのないようしっかりと確認することが大切です。
他の人に読んでもらう
可能であれば、チーム内のメンバーやディレクターなど、他の人にも記事を読んでもらいましょう。複数人で記事を共有し、内容を確認することで、ミスの見落としが減り、クオリティの高い記事に仕上げることができます。
どのような点がわかりやすかったか、あるいはわかりにくかったか、読んだ人の率直な意見を聞き、修正の参考にしましょう。
スキル向上のコツは読者目線にあり
Webライティングのクオリティを上げるコツをご紹介してきましたが、参考にしていただけましたでしょうか。Webライティングにおいて特に大切なのは、読者が何を求めているのか、説明に過不足はないかなど、読み手の目線に立って執筆を進めていくことです。
また、Webライティングには、一般的な文章作成に求められるスキルだけでなく、Webならではの特徴を踏まえた表記・表現も必要となります。
ライティングスキルは、一朝一夕に向上していくものではありませんが、今回ご紹介したポイントを押さえることで、よりクオリティの高い記事を目指すことができます。本記事が、ライティングスキルを向上させたい方の参考になりましたら幸いです。
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監修者 中野巧
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